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管理職の再生

~役割等級制度の導入とその効果~

【官僚型企業の問題点】

 「弊社の管理職は上位戦略の垂れ流しで、長年自分で考えて動くという事が出来ていません。売上が伸び悩んでいる今、彼らがコストに見合った働きをして欲しいのですが」

 恥ずかしながら・・・という言葉を添えて、とあるIT企業C社の社長は損益計算書を取り出した。ここ数年は競合他社の猛烈な追い上げと景気低迷が影響し、これまで築き上げてきた市場でのシェアは確実に狭まっていた。その不安定さは、確かに損益計算書にもしっかり現れている。

 「この危機的状況を回避する方法を、これまでのように私と経営者層だけで考えていては乗り越えられないと思っています。是非、管理職が弊社の戦略を自分の頭で考え、自分の声で語って欲しい。弊社の生き残りをかけて、ルーティーンワークが主となってしまっている管理職をどうにか再生させたいのです。」

 この様な問題はC社に限ったことではなく、私たちがコンサルティングを実施している多くの企業で起こっている。弊社独自のフレームワークである「企業の4分類」の中の「官僚型」がこの企業に当てはまる。

 

一従業員としての役割に甘んじ、変化が求められる昨今の市場競争下で、何も変わろうとしない管理職たち。彼らの存在が、企業の変化の障害になっていると言っても過言ではない。多くの企業の社長たちは、そんな管理職の扱いに頭を悩ませている。

 では、そもそも「管理職」とはどのような職であろうか。業界やその企業の戦略によっても異なるが、共通した大きな特徴として①その企業の経営者としての行動を求められる職である点②個人としてではなく、会社として成果が出るように組織やチームを率いる能力が求められる点、以上が挙げられる。

 C社の管理職が経営者としての立場を取りながら組織を牽引できるように、我々はある施策を実施した。

 【ジョブサイズによる評価と役割等級制度の実施】 

 C社の管理職は全部で200名、平均年齢は42歳である。彼らやその部下に、数ヶ月間に渡り綿密なヒアリングを行った結果、我々はある問題を発見した。それは、年功色の強い人事制度により、能力の高い社員のモチベーションが低下していることである。

 C社が行っていたのは「職能資格等級」ベースの処遇であった。上図のように、等級で役職ごとの処遇がなされ、貢献度が高い社員にその行動に見合った評価がされず、結果として能力の高い社員のモチベーションを下げていたのだ。我々はこの課題を解決すべく、貢献度の高さを報酬に反映させる等級制度の導入を目指した。

 C社の業務内容やヒアリングの結果から下表の通り役割評価基準を定め、役割の重さ(ジョブサイズ)を量り、等級を見直した。

 その結果、貢献度に連動した等級により社内での納得性が高まり、パフォーマンスに対する評価や処遇の透明性によって社員のモチベーションの向上につながった。また、危機感を持った管理職が率先して垂範することで、その部下にも影響を及ぼし、組織が健全な緊張感を持つようになった。

 社長や管理職への綿密なヒアリング、部下からの率直な意見や人事部との調整を経て、長年実施されていた等級制度を改革することができ、現在のC社が置かれる状況に見合った等級制度を実現することができた。

 これらの施策によって、管理職は「経営者としての行動」と「組織やチームを率いる能力」が求められているのだということを実感し、実際に発言や行動に現れるようになった。C社の管理職は現在、上位戦略の垂れ流しで動くのではなく、自分で戦略を考え会議の場で発言しながら行動に移してくことが習慣化されている。

 

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