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知っているようでよくわからない、コンピテンシーとは?

コンピテンシーという言葉についてご存知でしょうか?これまでに何となく聞いたことはあるという方、自分の中ではなんとなくわかっているけど他の人に説明することはできないという方が多いのかもしれません。

今回はそんな方のために、コンピテンシーについてわかりやすく解説します。

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コンピテンシーとは何か?


コンピテンシー(Comptency)と聞いて、皆さんはすぐに説明をできるでしょうか?コンピテンシーの定義は「高い業績を生みだす個人の行動特性のこと」であり、1970年代にハーバード大学の心理学者マクレランドが行った研究が始まりとされています。

高い業績をあげている人(高業績者)の行動特性を指標として、採用、育成(研修)、評価といった人事制度に活用することで、元々高業績者以外の人であっても高業績をあげられるようになる効果が期待されます。コンピテンシーを活用した人事制度では、「ひとは(誰でも)行動を変えることで高業績者になることができる」という考え方にもとづき、人材育成を行っていきます。

 

高業績者の行動特性とは?


コンピテンシーを理解する上で、よくわからないのが「高業績者の行動特性」の部分ではないでしょうか?仕事で成果を上げる、特に、高い業績を上げるためには、いくつか必要となる要素があります。行動だけではなく、仕事に関する知識やスキルが大きく関係をしてきます。

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わかりやすい例として、ドクターで考えてみましょう。もし、医学に関する知識やスキルが十分ではないドクターがいたとすると、病気の人が診察に訪れたとしても見逃してしまうかもしれません。あるいは間違った診断(誤診)を下してしまうかもしれませんね。いくら他の人からも尊敬をされるような行動を取っていたとしても、基本的な知識やスキルがなければ仕事で十分な成果を上げることはできないのです。

ドクターの例では、仕事における知識やスキルの重要性がわかりました。しかし、高業績者になるためには、知識やスキルがあるというだけでは不十分です。仮に、同じぐらいの知識やスキルを持っているドクターがいたとしても、全員が名医と呼ばれるわけではないと思います。

患者の話を時間をかけて聞き、わかりやすく治療方針を伝える。「このお医者さんは、本当に患者のことを考えてくれる」というのが伝わってくる診察を行うドクターと、淡々と事務的に診察を行うドクターがいた場合、患者さんからの評価は前者の方が圧倒的に高くなるでしょう。

知識やスキルは、それを仕事の現場で上手に発揮できなければ意味はありません。知識やスキルをどのように活用して行動に結び付け、仕事で高い成果を上げるのか、そこに着目したのがコンピテンシーなのです。

 

イチロー選手のコンピテンシーとは?


「高業績者の行動特性」でもう一つの例をあげます。高業績者で多くの方がイメージをしやすいのは、メジャーリーガーのイチロー選手ではないでしょうか。今年(2016年)、日米通算記録でピート・ローズ氏が持つメジャー最多記録の4,256安打を上回り、メジャー通算でも3,000本安打を達成しました。

イチロー選手のコンピテンシーは何でしょうか?日本のオリックスに所属していた時、イチロー選手は「振り子打法」と呼ばれるバッティングフォームでヒットを量産していました。野球を経験された方であれば、一度は振り子打法の真似をしてみたという方は多いのではないでしょうか。

イチロー選手が安打を打ち続けられるのは、もちろんバッティングに関する高い技術を持っていること、そして、その技術を発揮するためのフィジカル(肉体)を持っていることが大きいでしょう。

一般の人が、いくらイチロー選手のバッティングフォームを真似したとしても、イチロー選手の様にメジャーリーグでヒットをたくさん打てるようにはなるのは困難でしょう。

たとえ、プレースタイルは真似をできないとしても、イチロー選手から一般の人が学べることはたくさんあります。イチロー選手は、試合で最高のパフォーマンスを出すことを常に考えているそうです。そのために必要な練習を欠かすことはありません。ストレッチ、守備練習、バッティング練習に黙々と取り組んでいます。

イチロー選手は、先発出場をする試合の前だけではなく、先発を外れてベンチスタートとなる試合の前であっても、練習メニューは全く変わらないそうです。ベンチスタートの場合、その日の試合の最後まで自分の出番がない可能性もあります。しかし、イチロー選手はどんな時も練習の手を抜くということはありません。

プロフェッショナルとして、チームの勝利に貢献するために、日々の仕事(練習)に常に全力で取り組むことができるという、きわめて優れた自制心(セルフコントロール)を持っていること。イチロー選手の一番のコンピテンシーはこの部分にあるのではないでしょうか。

これをビジネスの世界で考えてみると、今取り組んでいるのが、上司から称賛される仕事、あるいはお客様から直接感謝される仕事といった、スポットライトを浴びることができる仕事とわかっていれば、多くの人がその準備に全力をあげることができるでしょう。

一方で、他人からの反応を得にくい、いわゆる裏方の仕事をする場面を考えてみます。どんなに全力で仕事に取り組んでも、誰の役に立っているのかわかりにくい。こういった仕事をする場合、スポットライトを浴びる仕事に挑む時と比べて、モチベーションが低くなり、どこかしら手を抜いてしまうのではないでしょうか。

しかしよく考えてみると、裏方の仕事は、その仕事をする必要であるから存在をしています。裏方の仕事があるからこそ、スポットライトを浴びる仕事が上手くいく。裏方の仕事は縁の下の力持ちとして会社を支えているのです。一見すると、地味でつまらないと感じる仕事であっても、全力で取り組むことができる。仕事のできる人になるためには、この様な自制心を身に付ける必要があるのではないでしょうか。

 

まとめ


コンピテンシーとは、「高い業績を生みだす個人の行動特性のこと」と定義をされます。仕事で高い業績を上げるためには、知識やスキルがあるだけでは不十分です。知識やスキルをいかに活用して行動に結び付けるかが重要となります。

イチロー選手はどんな時でも最高のパフォーマンスを発揮するために、日々の練習に全力で取り組んでいます。どんな時でも厳しい練習に全力で取り組むことができるという自制心こそがイチロー選手のコンピテンシーであり、その結果として本番(試合)で高い業績(ヒットを量産)を残し続けることができていると考えられます。

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