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元外資系人事部長が教える!活躍できる人を採用するポイントとは?

2016年11月10日

新卒採用で二人の候補者がいます。一人は高学歴で英語もできる。勉強熱心で向上心が高い学生。もう一人は、学歴はあまり高くなく英語はできない。特に得意という分野はないが、新しい仕事に興味を持っている学生。

この二人のうちどちらかは、入社してから長く活躍できそうな人材、もう一人はすぐにやめてしまうかもしれない人材です。

今回のコラムではこの話の結論を含め、中小企業が本当に採用すべき人材を選ぶためのポイントについてご紹介します。

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大企業の採用活動は限られた優秀な人材の奪い合い


どの企業でも、高学歴で、英語ができて、向上心が高く、責任感が強く、コミュニケーション力に優れている・・・といった完璧な学生を採用したいと考えていることでしょう。

特に、大企業ではその傾向が顕著です。応募者が殺到する大企業では、一定の学歴でふるいを掛け、その上で、向上心や責任感、コミュニケーション力などに優れており、自社の採用基準に合った極めて限られた学生を採用しようとします。

銀行や自動車メーカー、航空会社といった、知名度があり、多くの学生が就職を希望する大手有名企業であれば、この様に厳しい採用基準を設けたとしても、必要な人数を採用することはできるでしょう。

新卒採用で一部の学生に内定が集中する一方、全く内定をもらえない学生もいるといった話はよく聞かれますが、これは多くの企業が同じ様なタイプの人材を求めていることの表れといえます。

 

中小企業の採用活動には「こだわり」と「あきらめ」が必要


それでは、中小企業の採用活動ではどうでしょうか。一般的に多くの学生は、就職活動の際に知名度や企業規模で就職希望先の企業を選択しています。

中小企業は大企業に比べ知名度が低く、応募者は限られます。多くの学生は大企業志向を持っており、大企業が採用をしたいと考えている優秀な人材が応募をしてくることは稀です。

そこで、採用活動では、高学歴ではないがコミュニケーション力は高いタイプや、向上心が高く、責任感が強いが、コミュニケーション力はそこそこなタイプの人材を採用するという様に、特にこだわる部分とあきらめても良い部分を明確にしておくことが重要です。

例えば、職種が営業の場合、お客様のニーズに応えていく上で、コミュニケーション力は欠かせません。一方で、高学歴であるかどうかは、あまり重要ではありません。東大卒、京大卒の営業は売り上げが高く、高卒の営業は売り上げが低いかというと、そうだとは言えませんね。

毎年の採用活動で、どの企業でも欲しがる優秀な人材は限られます。応募者の数が限られる中小企業が、大企業の様に厳しい採用基準を設けたとしても、それに合致する学生を採用できる可能性はかなり低いと言えます。

中小企業の採用活動では、あらかじめ自社が求める人材像を明確にしておき、採用したい人材の差別化を図ることをおすすめします。

 

中小企業が採用すべき人材は「採用したい人材」ではない


次に、中小企業に大企業が採用をしたいと考えている優秀な学生が応募をしてきた場合を考えてみます。その様な人材が応募してくることは、稀と書きましたが、ありえないことではありません。

高学歴で、英語ができて、向上心が高く、責任感が強く、コミュニケーション力に優れている・・・という大企業も欲しがる学生です。絶対に採用をしたいと考えることでしょう。

しかし、ここが中小企業の採用で最も注意すべきポイントです。まず、そのような優秀な学生には、貴社だけではなく、他社も内定を出したいはずです。既に他社の内定を得ているかもしれません。つまり、優秀な学生であればあるほど、内定を出しても辞退される可能性が高いのです。

少し考えてみてください。応募してきたその学生には、あなたの会社でどうしても働きたいという志望動機がありましたか。「御社で成長したい」といった、どの企業でも通用する志望動機ではなかったでしょうか。

あまり良い話ではないですが、曖昧な志望動機であれば、本命の大企業の予行演習としてあなたの会社に応募してきたのかもしれません。辞退される可能性が高い人ばかりに内定を出すと、翌年の新入社員が0といった最悪の事態も起こり得ます。

優秀な学生が実際に入社した場合も考えてみましょう。繰り返しになりますが、高学歴で、英語ができて、向上心が高く・・・といった人材です。

もちろん一概には言えないのですが、自社に合わない優秀な人材を採用した場合には、以下の様な問題が起こることがあります。

・同僚を見下すような態度をとる。
・自分の得意な英語使わないといった理由で、仕事に不満を持ちやすい。
・上司が上手く指導することができない。

高学歴で英語が得意なことや、向上心が高いことは決して悪いことではありません。しかし、あなたの会社でそのような人材を使いこなせるのかを考えてみてください。英語を使う仕事がなければ、英語が得意な人材を採用する必要はありません。定型的な仕事が中心なら、向上心が高い人材はむしろ不適格です。その人は仕事に不満を持ち、転職を考えはじめることでしょう。

つまり、中小企業が本当に採用すべき人材は、どの企業でも「採用したい人材」ではありません。もちろん、優秀な人材が入社してから長く活躍してくれることが一番なのですが、そればかりを期待して採用活動をすることには大きなリスクがあります。

あまり無理して、大企業も欲しがる優秀な人材ばかりを求めると、内定辞退や早期退職が続出ということになりかねません。中小企業が採用すべき人材は「自社のレベルや環境に合った人材」なのです。

冒頭の話の続きです。学歴はあまり高くなく英語はできない。特に得意という分野はないが、新しい仕事に興味を持っている学生は、一見すると採用すべき人材には見えないかもしれません。しかし、この様な人の方が、仕事に不満を持ちにくく、入社をしてから問題を起こす可能性が低いと言えます。上司や先輩社員も指導しやすく、入社してから長く活躍できそうな人材であると考えられます。

 

まとめ


大企業に比べ知名度が低く、応募者が限られる中小企業の採用活動では、コミュニケーション力は外せないという様に求める人材像を明確にしておき、採用したい人材の差別化を図ることをおすすめします。大企業のようなすべてに優れた人材を採用することはあきらめ、入社してきた人材を育成して使いこなす覚悟が必要です。

大企業も欲しがる優秀な人材が応募してきたとしても、あなたの会社で長く活躍できるとは限りません。その様な人材ばかりを求めると、内定辞退や早期退職が続出ということになりかねません。

中小企業が本当に採用すべき人材は「採用したい人材」ではありません。採用すべき人材は「自社のレベルや環境に合った人材」なのです。

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