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日本企業が「働き方改革」を成功させるために大事なポイント

2018年2月8日

今回のコラムも「働き方改革」についてご紹介します。

「長時間労働を改善しようと試みたが上手くいっていない」「仕事の効率をあげて生産性を高めたい」という企業の方におすすめしたい内容です。

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増え続ける管理職にどう対処するか


皆さんの会社では部長や課長と呼ばれる管理職の割合はどの位でしょうか?統計情報によるとおおむね一割未満(8%程度)の企業が多いそうです。

うちの会社では役職についている人がたくさんいて、4人にひとりあるいは3人にひとりが管理職という企業の方もいるかもしれません。弊社がこれまでにコンサルティングに携わってきた中には、管理職と呼ばれる方の割合が40%を超えるという企業もありました。

管理職の割合が多いという企業は、もちろん理由がなくその様な状態になったわけではないと思います。会社が成長して行く中で、この様な役職が必要だからを作ろうとなったはずです。

例えば、売り上げが伸びており、営業を増員する必要があるから、営業部長の下に新たに課長のポジションを作ろうという感じですね。さらに、営業の中で成績が優秀な人にふさわしい待遇を実現するため、課長補佐とか課長代理といったポジションも設けようというケースも考えられます。こうやって企業が成長している間には様々なポジションが作られていきます。

企業の成長期にポジションが増えていくことは、当然の流れといえるのですが、問題となるのが売上が伸びなくなってきた時です。企業の成長が止まって、停滞傾向を迎えた時も考えてみましょう。

例であげた、売り上げの伸びに合わせて新しく課長や課長代理といったポジションを設けた企業が、前年より伸びる見込みは当面ない状況を迎えているとしましょう。売り上げは減っており、営業社員の人数は減らしている。人数の面だけ言えば、部長ひとりで全営業社員を管理することができる状況となっています。

売り上げの面からいえば、課長や課長代理といったポジションはなくしてしまい、管理職の割合を適正化するのが合理的です。とはいっても、一度管理職になった人が、わかりましたと素直にそのポジションを手放すのは難しいものです。

課長につけるぐらいの人なので、会社として必要な人材です。もし、会社が申し訳ないが営業部門に課長というポジションは必要となくなったから降格して欲しいとストレートに伝えた場合、その人は会社をやめてしまうかもしれません。

皆さんの企業ではその様な場合どの様に対処するでしょうか。やめてもらってもかまわないからポジションから外すという企業もあるかもしれませんが、そこまではせず、他の部門で同じ位のポジションにつけたり、本来必要はないけど課長のポジションを維持したりをするというケースが多いのではないでしょうか。

解決方法でどれが成果と言い切れるわけではありませんが、弊社がこの様な状況に直面している企業のコンサルティングに携わる場合の方針をご紹介します。

 

ポジションの見直しなくして、働き方改革なし


職責が希薄化したポジションを維持したり、無駄なポジションを作ってしまうことは、組織の効率を下げる原因となります。各ポジションの間で、重複する仕事が生まれている可能性や、本来は行う必要がない無駄な仕事をしている可能性もあります。

これは「働き方改革」を進めるにあたっても大きな問題となります。一人ひとりの社員が本来すべき仕事をしていれば、より効率的に短い時間で働くことができるのに、不要なポジションがあるがゆえに無駄な仕事を生んでいるのです。

このような場合、弊社ではまず個々のポジションの職責の重さを測定(一般的に職務評価といいます)を行います。そこで、現在のポジションが適切かを確認していきます。

ポジションの測定は、「ポジション・サイズ評価表」を使用して行います。対人折衝(社内/社外のどちらかで評価)をどの程度行っているか、部下の管理をどの程度行っているかなどあらかじめ項目を設定し、一人ひとりのポジションの職責を評価していきます。

■ポジション・サイズ評価表の例

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ポジションの見直しで意識すべきポイント
・関係者で役割に大きな重複があったり、役割があいまいだったりすれば分担を見直す。
・管理職の場合、管理責任(例:業務の運営、部下の評価・育成など)の役割分担を明確にする。
・本人の実力・現在の等級に比してポジション・サイズが小さい場合には何からの役割を付加する。

既存組織の役割分担を見直すことをしなければ、無駄がなく仕事をしやすい新しい組織にすることはできません。増えすぎた管理職のポジションを放置しながら「働き方改革」を成功させることは困難なのです。

 

まとめ


「働き方改革」というと時間や場所を見直して、働き方に柔軟性を持たせるということを真っ先に思い浮かべる方が多いと思いますが、最も大切なのは、より短い時間で効率的に働くことができるようになるために何をするのかということです。

働き方改革を成功させるためには、一人ひとりの働き方の見直しと並行して、組織全体の役割分担を見直すことが欠かせません。一度、部長や課長といった役職に付けた人であっても、現在の環境でそのポジションにふさわしい仕事をしていない、あるいはそのポジション自体が不要となっているのであれば、新たな役割につけるということも時には必要なのです。

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