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会社が組織を安定的に運営し目標を達成していくためには、組織の中に役割分担(職責の分担)がなくてはなりません。そして、組織の中の役割(職責)の大きさは一律ではなく軽重があります。その軽重に序列(等級)をつけて、職責を大括りにしてまとめたものが役割定義書です。 役割等級制度のことを「職責等級制度」と呼ぶ方がより適当かもしれません。しかし、職務等級制度も職責をベースにしており、区別をするために役割等級制度と呼んでいます。
具体例をあげると、全社共通の役割定義書だけがある会社と、職種別の役割定義書を用意する会社があります。ジョブサイズ評価をする会社と、ジョブサイズ評価をしない会社の違いもあります。 ※ジョブサイズ・・・職責の重さ 従来の職能資格定義書の「・・・ができる」の定義を「・・・をしている」に書き換えた程度の役割定義書で運用を行っている会社、どこかの本から丸写しした程度の役割定義書で運用を行っている会社もあります。 その一方で、経営環境を考慮して、会社の今後の方向性、社員の強み・弱みをしっかり意識した役割定義書を使っている会社もあります。 役割等級制度をフルに作り込めば、職務等級制度に近づいていきます。ただし、職務等級制度のような詳細な職務分析・職務評価・給与調査、大量の職務記述書、職種毎の給与体系まではやりません。 目標設定会議、評価会議、人材育成会議など、頻度・対象・議論する深さは、各社各様といえます。実績をもとに個人の強み・弱みと育成の方向性をしっかり議論する会社もありますが、相対評価に落とし込む事務作業だけで終わっている会社もあります。 設計・運用をどの程度やるのかは、会社それぞれが置かれた環境・実力で判断するしかありません。最終的な目的は、社員に会社が求める役割を果たしてもらうことになります。 理想を追い求めすぎて複雑な設計、重い運用を課すと、現場から人事のための仕事をしているのではないという反発を受け、導入に失敗することにつながります。現場を巻き込み、合意形成をしながら落としどころを定める必要があるといえます。
最初に自社の人事ビジョンや人事の基本方針を定めます。それをもとに独自性のある役割等級制度を設計し、運用で問題が発生した場合は最初に定めたビジョンや基本方針らに立ち戻って判断を行って下さい。 人事ビジョンは、会社の中の人事機能のありたい姿(今後5年~10年ぐらいが目途)をまとめたものです。
「〇〇業界の変革者」となるため、社員一人ひとりが変革者意識を持ち、働き甲斐を感じ、最大限の力を発揮できる職場環境を創る。
人事の基本方針は、人事ビジョンを達成すための具体的な仕組み(等級、評価、報酬など)の設計思想、運用基準を定めたものです。