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価値観

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価値観

価値観とは

価値観とは、個人あるいは集団(例:チーム、会社・組織、国)の物事の見方で、ある状態の方が逆の状態よりも好ましいと考えることをいう。つまり、価値観は、個人あるいは集団が好ましいと信じる「信念」ということもできる。また、価値観は、ひとの能力(コンピテンシー)の中の一要素にもなっている。

ロキーチの価値観 

社会心理学者のミルトン・ロキーチによれば、価値観は「最終価値」と「手段価値」の2つに分かれ、さらにその下に次のような価値項目があるという。

最終価値・・・望ましい終局の状態 (計18個)

  1. 快適な生活(豊かな生活)
  2. エキサイティングな生活(刺激的、活動的な生活)
  3. 達成感(永続的な貢献)
  4. 平和な世界(戦争や紛争がない世界)
  5. 美の世界(自然美、芸術美)
  6. 平等(あらゆる人間にとっての機会均等)
  7. 家族の安全(愛する人を守ること)
  8. 自由(独立、選択の自由)
  9. 幸福(満足感)
  10. 精神の調和(心に葛藤がないこと)
  11. 成熟した愛(性的かつ精神的な親密さ)
  12. 国家の安全(攻撃に対する防衛)
  13. 喜び(楽しさ、ゆったりした生活)
  14. 魂の救済(罪からの救済、永遠の生命)
  15. 自己の尊重(自尊心)
  16. 社会的承認(尊敬、賞賛)
  17. 真の友情(仲間との親密な間柄)
  18. 叡智(人生についての成熟した理解)


手段的価値・・・最終価値を達成するための手段 (計18個)

  1. 野心的であること(勤勉さ、向上心)
  2. 心が広いこと(オープンマインド)
  3. 有能であること(優秀さ、効果性)
  4. 陽気であること(快活さ、楽しさ)
  5. 清潔であること(整然、几帳面さ)
  6. 勇敢であること(自分自身の信念のために立ち向かうこと)
  7. 寛容であること(他者を許そうとする行動)
  8. 人を助けること(他者のための行動)
  9. 正直であること(誠実さ、嘘をつかないこと)
  10. 想像力に富むこと(斬新さ、創造性)
  11. 独立的であること(自立性、自給自足)
  12. 知性的であること(聡明さ、思慮深さ)
  13. 論理的であること(一貫性、合理性)
  14. 愛情深いこと(人へのやさしさ、思いやり)
  15. 従順であること(忠実さ、尊敬の念)
  16. 礼儀正しいこと(丁寧さ、よいマナー)
  17. 責任感があること(頼りになること、信頼)
  18. セルフコントロールできること(抑制、自制心)


ロキーチが示した価値体系は明確であり、網羅的に価値項目を取り上げている。また、日本人にとっても、ほとんどの項目が馴染み深いものになっている。

※参考文献
スティーブン P・ロビンス、【新版】組織行動のマネジメント―入門から実践へ :ダイヤモンド社、2009

ホフステードの国民文化の評価のための価値観

社会心理学者のヘールスト・ホフステードは、国による文化の違いを明確にするために、以下の6つの価値観を挙げる。

  • 権力格差(権力の不平等な分布を受け入れる ⇔ 受け入れられない)
  • ひとの結びつき(個人主義がよい ⇔ 集団主義がよい)
  • 社会的役割(男性らしい方がよい ⇔ 女性らしい方がよい)
  • 不確実性の回避(曖昧さを受け入れられない ⇔ 受け入れる)
  • 思考の時間軸(長期志向がよい ⇔ 短期志向がよい)
  • 欲求への姿勢(自由に満たしてよい ⇔ 抑制的がよい)

ホフステードは、これら6つの価値観を各国・地域で測り、結果を比較分析した。日本、米国、中国の結果を取り出すと以下のようになる。

  • 権力格差(計76の国・地域)   ・・・日本49位、米国59位、中国12
  • ひとの結びつき(計76の国・地域)・・・日本35位、米国1位、中国58
  • 社会的役割(計76の国・地域)  ・・・日本2位、米国19位、中国9
  • 不確実性の回避(計76の国・地域)・・・日本11位、米国64位、中国70
  • 思考の時間軸(計93の国・地域) ・・・日本3位、米国69位、中国4
  • 欲求への姿勢(計93の国・地域) ・・・日本49位、米国15位、中国75位

世界の中で比較すると、日本は、権力格差を受け入れられず、男性らしい社会を好み、不確実性を回避し、長期志向という特徴がある。米国は、権力格差を受け入れられず、個人主義、男性らしい社会を好み、不確実性を受け入れ、短期志向、欲求を自由に満たすことを好むという特徴がある。中国は、権力格差を受け入れ、集団主義、男性らしい社会を好み、不確実性を受け入れ、長期志向、欲求には抑制的という特徴がある。

このように、ホフステードの調査の結果は、我々がステレオタイプに持っている各国の文化の特徴とほぼ合致し、異文化を理解するには非常に優れている。他方、その国に属するひとに対する先入観にもなりかねない。実際には、ロキーチのいうような多数の価値観があり、同じ国のひとでも一人ひとり好悪が違うことに留意して、相互理解を深める必要がある。

※参考文献
G・ホフステード等、多文化世界【原書第3版】:有斐閣、2013

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