組織は、以下の7つの要素から構成される。
- 企業理念・ビジョン・・・組織の存在意義(目的・使命、事業範囲)や今後めざしていく姿(主にビジネスの方向性)外部優位性:年収を同業他社と比較し、外部競争力を明確にします。
- 戦略・・・組織の将来像(経営目標など)と競合に打ち勝ちながらそれを達成するための施策群
- 組織構造・・・戦略や通常業務を遂行するための組織図そのものと具体的な役割分担、さらに個々のポジションとポジションへのひとの配置状況
- 制度・・・製品・サービス開発、生産、物流、営業、保守、人事、経理、などに関するルール、業務プロセスなど
- リーダーシップ・スタイル・・・主に経営層・上位管理職の影響力の発揮の仕方
- ひと・・・知識・スキルや行動特性を持ち、何らかのモチベーション状態にある社員
- 企業文化・・・組織を運営した結果として存在する特有の文化
弊社以外のコンサルティング会社や研究者は、様々に組織の構成要素を定義している。マッキンゼー社の7Sは特に有名で、Strategy(戦略)、 Structure(組織構造)、 Systems(社内の仕組み)、 Shared Values(価値観)、 Style(経営スタイル)、 Staff(人材)、 Skill(スキル)からなるという。
各構成要素の関係
組織の構成要素の関係を下図に示す。
「企業理念・ビジョン」は、組織運営をするための起点である。企業理念は組織の存在意義(目的・使命、事業範囲)、ビジョンは将来のありたい姿である。将来のありたい姿は、外部視点でビジネスのありたい姿(例:競合との違いを示すポジショニングに関するメッセージ)を定めることが多い。なお、企業理念・ビジョンと同じ位置に「組織の価値観」を置き、内部視点で社員のあるべき姿を定義する会社も多い。さらに、最近はやりのパーパス経営(企業が何のために存在し、どのような価値をもたらすのか、事業活動の根本となる「志」や「信念」を指針の軸とした企業経営のこと)では、自社の製品・サービスが果たす機能や自社の事業の意図だけでなく、社会善を存在意義や将来のありたい姿に入れるようになってきている。
「戦略」は、企業理念やビジョンを具体化にした組織目標とそれを達成するための施策群からなる。そして組織は、戦略に基づき「組織構造」、各種の「制度」を設計し、運用・検証する。人事制度は、「制度」のひとつに過ぎない。
経営層・管理職は何らかの「リーダーシップ・スタイル」を取り、ひと(社員)を目標の達成に向かわせる。「ひと」は何らかのモチベーションを持ち組織で働く人々で、必要なスキルや行動特性を獲得し、組織構造を通じて戦略や各種制度を実施することになる。組織運営した結果できあがったのが「企業文化」である。
「企業理念・ビジョン」、「戦略」、「組織構造」、「制度」は明文化されたハード的な要素で、入れ替えは比較的容易である。他方、「リーダーシップ・スタイル」、「ひと」、「企業文化」はひとの内面にかかわるソフトな部分なので短時間では変わらないし、変えるには強い痛みが伴う。
要素間の相互作用
図の中で、(組織の内部)の矢印は、要素間、あるいは要素群間の相互作用を示している。
組織を運営する中で、「企業理念・ビジョン」は必要があれば見直される。企業文化が組織運営の促進要因にも制約要因にもなり得る。
”組織運営”の中の各要素も互いに相互作用を及ぼす関係になっている。「戦略」は中核的な要素であり、”組織構造は戦略に従う”という有名な言葉がある。しかし、「組織構造」やその他の要素は、「戦略」に従うだけではない。戦略以外の要素が外部環境の変化に先に適応し、それが戦略の質を高め、選択肢を広げることもある。もちろん、戦略以外の要素が環境に過剰適応していないかにも、注意が必要である。
組織能力
組織能力とは、組織が環境に適応し成長していくための総合的な能力で、組織の各構成要素とその相互作用から成り立っている。そして、どの会社も組織能力の向上を目指している。